会う贅沢はこれからどうなるのか。
会うのはこれからどんどん贅沢になっていくと初めて見たのは5年ぐらい前だったと思う。
そんな時代が来るのかなあと思っていたら、いよいよ来た。
時代は変わっているのを感じるのはこういう瞬間だ。
仕事で「会う」ことを一番のセールスポイントにしている営業はどうなるんだろう。
よくあるのは「田中さんだから、お願いすることにした。」というやつ。
新卒募集をしている企業のサイトでよく見たエピソードだ。
その時は世間知らずだから、人柄で売るってすごいなあと思ったけれど、なんてことない。
やることやって足繁く通えば良いのだ。
そして、「田中さんだから」というのは仕事の中での話だ。
仕事を離れてもその「田中さんだから」は機能するのだろうか。
会社を離れても、営業と得意先の2人を結び続けるのだろうか。
家族ぐるみの付き合いとたまに聞くけれど、会社に所属している限り癒着になりかねない。
そこまでのリスクを負って仲良くなれる人がいるんだろうか。
私にはほとんど不可能に思える。
会うという贅沢を、仕事に全振りして使ってきた時代なのだ。
私のためにここまで会いにきてくれるという戦略が心を打つのだ。
人と人だからそれはもう、本能に近いところに訴えかけるのだと思う。
だから、営業が成り立つ。
仕事でどうしても会わなければならない理由はなんだろう。
会わないと契約は本当に取れないのか?
会わないと本当に信用できないのか?
会うからこそ、うやむやにして騙せているのではないか?
営業は、最後の力が大きいのではないか。
営業は時間とコストがそのままかかる贅沢な仕事だ。
WEBに商品と価格を出しておいて売れるなら、時間もコストもかからない。
その間に当の本人は本当に会いたい人、友人や家族に会える。
仕事では会うべき人と契約のタイミングでしか会わなくなるだろう。
会って5分でサインして、後は友達になれるかどうか見極めるために食事に行くという風になるかもしれない。
契約するための食事ではないのだ。
仕事が軽くなると、仕事先の人と友達になれる時代が来るかもしれない。
それより先に、友達だから仕事しようという時代になりそう。
友達と起業はもめやすくて大変だと聞くけれど、そこのブレイクスルーが来るのかもしれない。
書いていて、BtoBのビジネスがなくなる気がしてきた。
BtoBのメリットは効率化。
人はもう効率をそこまで求めていないし、なんだったら取り戻したいぐらいに思っている。
効率の悪さは豊かさにつながることを人は気づいている。
会う贅沢は、家族や友人のために使う時代になる。
だから、会いたい人にならないといけない。
それは仕事というフィールドでなく、人生というフィールドで、だ。
仕事が噛まなくなって途切れる縁は、もう機能しなくなる。
人生を豊かにしてくれる人と会いたいのはみんながそうだろう。
会いたい人に私はなりたい。
私は独身の頃、よく一人でお酒を飲んでいたんだけれど、
その時に確信したのは、お客さんはお酒を飲みにきてるんじゃなくて、
人(マスター)に会いにきているのだ。
その日店に立つのがマスターか、バーテンダーで客が変わるのだ。
私はそういう人になりたい。
私が会いに行っていたマスターはプライベートでは一切お客さんとつながる人ではなかったけれど、
私は会いにきてもらえて、プライベートでもつながる人になりたい。
仕事とプライベートの差がどんどんなくなって、
自分の会える範囲のコミュニティでゆるくつながりあって助け合う。
そういうものを私は作っていきたい。